語順のない言語って
語順のない言語って存在しないのかなっていう、そんな話。
言語には語順ってあるじゃないですか。英語ならSVOとか、日本語ならSOVとかそういうの。
I have a pen. SVO
私はペンを持っている。 SOV
こういう語順が存在しない言語は存在しないんですかね。
(ここでいう「語順が存在しない」っていうのは、語順を入れ替えても成立するという意味ではありません。語順を入れ替えても成立するっていうのは以下のようなこと。
- おばあさんは川へ洗濯をしに行きました。
- おばあさんは洗濯をしに行きました。川へ。 )
言語に語順が必要なのは、一つの視点から見ると「同時に二つ以上の意味を発声できないから」だと思うんですよね。つまり、「私は」と「ペンを」と「持っている」を同時に発声できないからこそ、どの順番で言うのかが問題になっているはずなのです。もし人間が三つの発声器官を持っていたら、それぞれの口でS、V、Oを口にすることで、少なくとも音声上は語順なんて必要なかったのかもしれません。
もう少し現状の人間に則して考えてみましょう。
われわれは一つしか発声器官を持っていないので、その一つの口で二つ以上の意味を発生するにはどうしたらいいのでしょうか。たとえば二つの意味を発するために母音にSを、子音にVを担当させてみたらどうでしょう。仮に"aoe"で「私」、"ktr"で「走る」を意味するとしてみると、{カトレ(katore)}と発声することで「私は走る」と伝えられるようになります。さらにイントネーションで時制を表してみたらどうでしょう。「りんご」の平坦なイントネーションで現在形、「バナナ」の最初が上がるイントネーション過去形とすると、「私は走る」と「私は走った」を{カトレ(katore)}の読み方で表現し分けることができます。詳しくないですが、中国語で言う声調のようなものを加えてみたりすると、さらに表現の幅が広がったりしないでしょうか。
これを拡張していったら、語順の必要ない言語がありえるんじゃないかなというのが今日の妄想です。ただ、現実的なことを考えると様々な問題がありました…。私の最初の発想を叶える、という点では特に以下の二つが問題です。
- 母音、子音で分ける以外に良い区分が見つからない。
- 分けたとしても、例えば母音一つに担わせる表現の幅が多くなりすぎるため、めちゃくちゃ長くなってしまう。
1は実現性の問題ですね。考えてみたはいいものの、実際に音の要素にSVOその他を担わせるのはかなり困難。2は効率の問題。最初の発想としては、一単語レベルの発声をするだけで文章が表現できるなら、それは非常に効率的なんじゃないかとワクワクしながらこれを考えていましたが、結局きわめて多量の語彙を一つの要素で表現しないといけないとなると、難しい語彙に"ttpbdkrfsmmc"みたいな名前を付けなくちゃいけないかもしれません。それは結局本末転倒で効率的ではありません。
こんなどうでもいい発想を、気が向いたら書き連ねていきます。もしよければお付き合いください。